バゲット・トラディション

 ツジ・キカイ(山根証社長)が6月6日、大阪市北区の同社堂島ラボで開いた「石窯・スチコン パンセミナー」で紹介された製品。テーマは「食事パンの魅力」。講師は、大阪府大阪市のベーカリー「ブーランジェリー パリゴ」の安倍竜三オーナーシェフ。


バゲット・トラディション

写真1

 
 
 低速だけで優しく生地をこねて、生地を低温で長時間寝かせて作るバゲット。日本では「レトロバゲット」の名前でも親しまれている。
【配合%】
ジェニー(フランスパン用粉、日本製粉) 50
メルベイユ(フランス産小麦粉、日本製粉) 30
グリストミル(石臼挽き小麦粉、日本製粉) 18
FH全粒粉(日本製粉)
塩(天塩) 1・9
インスタントドライイースト青 0・2
モルト 0・2
70
パシナージュ(足し水)
【工程】
ミキシング(スパイラルミキサー使用) L5分(オートリーズ2時間)L5分(この間にパシナージュ投入)
捏ね上げ温度 25度C
フロアタイム 30分(パンチ)30分(フロアタイム後、冷蔵庫で一晩休ませる)
分割 300グラム
ベンチタイム 30分
成形 バゲット形(写真1
ホイロ 30度C70%25〜30分
焼成 240度C20分(スチーム注入、焼成前にクープを入れる)
 安倍講師のコメント フランスでは3種類のバゲットの作り方があります。  まずは、今フランスでもてはやされている「バゲット・ド・トラディション」の作り方で、ミキシングは低速だけで繋いでいく方法です。生地を冷蔵庫で長い時間ねかせて熟成させます。当日仕込みでも長い時間寝かせます。  日本では、「レトロバゲット」として登場し、人気を集めました。  もうひとつは、日本にフランスパンを伝えたレイモン・カルベル氏が考案した製法で、ミキシングの途中に高速ミキシングを加える方法です。メリットは、ボリュームが出ることと、生地が酸化しにくいということです。この製法が今も日本のフランスパンの王道として定着しています。  3つめは、1970年代に流行った、目が詰まった白いバゲットの製法です。高速ミキシングを10分ぐらいかけて、捏ね上がりの生地はある程度硬いものになります。イーストを多めに配合して短時間で作ります。  バゲット・トラディションの製法は、日本では冷蔵法といわれていますが、要するにストレート法です。発酵時間を引っ張るための環境を冷蔵庫に求めているだけであって、発酵の考え方はストレートのバゲットと全く同じです。  フランスパンは、ミキシングはかけない方がいいとよく言われますが、その理由は、生地を必要以上に酸化させると、変なコシがついて悪影響が出るということだと思います。  イーストの量と発酵の温度や時間というのは、バランスの問題なので、単にイーストの量が少なければいいという問題でもありません。  小麦粉が持っているポテンシャルというものもあります。長い時間置いても甘みが出てきて生地が繋がる小麦粉もあれば、長い時間置くと生地が切れてくる小麦粉もあります。  ですので、ミキシングをあまりかけずに長い時間休ませるのが必ずしもいいとは思いません。  イーストが不自然に多いのは、パンの発酵のメカニズムの観点から、澱粉の糖分を食べ過ぎてしまうのでよくないと思いますが、入れたイーストの量と、澱粉を食べていくスピードが問題なので、最終的にパンに残っている糖分がどれくらいあるかということが大事だと思います。  それが小麦粉の自然な甘さを出すということだと思います。